2013年10月28日月曜日

アスリートの高血圧治療で運動持久力が低下する!?

The effects of verapamil and propranolol on exercise tolerance in hypertensive patients.
J. Mooy, M. van Baak, R. Bohm, R. Does, H. Petri, J. van Kemenade, K.H. Rahn
Clin. Pharmacol. Ther. 1987; 41: 490-495.
PMID: 3552358

題名:高血圧患者における運動持続性に対するベラパミルとプロプラノロールの効果

以下、抄録の要約。

試験の概要
・single-blind, placebo-controlled crossover試験
・本態性高血圧の8人の患者を対象。
  ベラパミル 450 +/- 30 mg/day
  プロプラノロール 160 +/- 20 mg/day
・クロスオーバーはランダムに施行。
・運動試験は、エルゴメーターによる自転車運動の持久性試験。

試験の結果
・降圧作用は両群において、同様であった。
ベラパミル、プロプラノロールどちらも心拍数を減少させたが、プロプラノロールがより顕著であった。
・運動持続時間は、
  プラセボ群:57 +/- 11 分
  プロプラノロール群:32 +/- 7分
  ベラパミルは運動持続時間に影響がなかった。
・以上より、プロプラノロールは高血圧患者において、運動耐容能を低下させると考えられる。


(感想)

スポーツ選手においても、高血圧患者は多くいらっしゃいます。

高血圧治療におけるドーピング禁止物質の管理は比較的容易です。利尿薬を絶対に外し、競技種目によってはbeta1遮断薬も外します。また、PPARdeltaアゴニスト作用を有するARBも外しておいたほうが無難かもしれません。

本報告は、beta1遮断薬は出来るならば競技種目によらず、スポーツ選手には使わないほうがいいかもね、という内容です。もちろん、beta1遮断薬を第一選択にする病態もありますので、100%絶対にbeta1遮断薬を使うなよという話ではありません。


高血圧を治療するための薬剤の種類に、心拍数を落とすことによって血圧を落とすという薬があります。
それがbeta1遮断薬であるプロプラノロールやカルシウムブロッカー(CCB)であるベラパミルです。ただし、ベラパミルは我が国においては高血圧の適応ではなく、不整脈治療薬として用いられることがほとんどです。
また、CCBであるジルチアゼムもそういう薬効を持っています。

心拍を落とすので、運動時の酸素供給が落ちる可能性が考えられ、運動耐容能も落ちるのでは?と考えられます。

しかし、結果として心拍数を落とすベラパミルは運動耐容能が落ちず、プロプラノロールで顕著に運動耐容能が落ちるという結果でした。

プロプラノロールはbeta1以外にもbeta2も遮断します。beta2の刺激により、肝臓でのグリコーゲン分解が促進されますので、このプロプラノロールによる運動耐容能低下作用の一部は、糖代謝を低下させることを介しているのかもしれません。

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