2013年10月17日木曜日

クレンブテロール摂取後に中毒症状!!2例の症例報告

Myocardial ischemia associated with clenbuterol abuse: report of two cases
D.S. Huckins, M.F. Lemons
J. Emerg. Med. 2013; 44: 444-449.
PMID: 22633759

題名:クレンブテロールの乱用と関係する心筋虚血:2症例の報告

背景:クレンブテロールはアルブテロールと類似の、長時間作用型beta2受容体アゴニストの経口剤であり、近年、ボディービルディングやアスリート界で乱用されてきている。

目的:2人の若い健常男性のボディビルダーがクレンブテロールを乱用し、心筋虚血をおこした2例を報告する。

症例報告:18歳と22歳の2人の男性ボディビルダーがクレンブテロール摂取直後、動悸・吐き気・嘔吐・胸痛・発汗・頻脈により救急部へ搬送された。どちらの患者も洞性頻脈であり、そのうち1人はbeta遮断薬やカルシウムブロッカーに対して比較的抵抗性を示した。どちらの患者も、トロポニンレベルが上昇しており、18歳の患者は最高で4.17 ng/mL(通常、0.04 ng/mL未満)だった。また、その患者は、カテーテル法や心臓MRI検査で、冠動脈に異常は見られなかった。さらに両患者ともエコー上、異常は見られなかった。頻脈は徐々に解消され、無事に回復した。これらの患者の心筋虚血の原因はよくわからない。

結論:救急医は、クレンブテロールの乱用やオーバードーズによる臨床症状に気を付けなければならない。心筋虚血や不整脈といった症状がでることもある。考えられる治療法としては、輸液・酸素吸入・アスピリン・beta遮断薬・ベンゾジアゼピンなどがあるが、効果的かは証明されていない。



(感想)

ボディビルダーなどの筋肉が必要な競技における乱用が問題視されているクレンブテロールの急性毒性についてのレポートです。クレンブテロールは、家畜への汚染も問題にされています。時々、このような家畜を食したことによって食中毒がおこるという話を耳にしますが、この報告にあるような症状がおこると推察されます。

主な中毒症状として、吐き気・動悸・頻脈・胸痛・発汗などが挙げられたそうです。交感神経が活性化されることによっておこる一連の症状(交感神経刺激症状)の代表例と、ほぼかぶります。
パニック障害での発作時にも交感神経刺激症状が現れることもあり、似たような症状を示すかと思います。また、糖尿病患者における低血糖発作時にも交感神経刺激症状が現れます。手の震えや顔面発汗などがそれにあたります。

検査の結果、トロポニンレベルが上昇していることから虚血がおこっていることがわかりましたが、各種検査から狭心症や心筋梗塞については否定的です。頻脈によって心筋酸素需要量が増大し、酸素需給バランスが悪くなったことにより虚血症状を呈したのでしょうか。もしくは、過剰量クレンブテロールがalpha受容体を作動させて、部分的に冠動脈スパズムをおこしていた可能性もあります。

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