2012年9月10日月曜日

葛根湯でドーピング?

Urinary elimination of ephedrines following administration of the traditional chinese medicine preparation Kakkon-to.
K.H. Chan, R.N. Pan, M.C. Hsu, K.F. Hsu
J. Anal. Toxicol. 2008;32;763-767
PMID:19021932


題名:葛根湯投与後の尿中へのエフェドリン排泄


葛根湯は、風邪に対する伝統的な漢方の一つである。麻黄は葛根湯の成分の一つである。麻黄の主要な成分であるエフェドリンは、WADAリストに記載のある禁止物質である。本研究の目的は、葛根湯投与後の尿中へのエフェドリンの排泄を検討し、エフェドリンテストの結果として陽性になるのかどうかを決定することである。6人の健常ボランティアに2.5g葛根湯抽出顆粒を単回投与した。尿中エフェドリン濃度は、HPLCにより決定した。エフェドリンとノルエフェドリンは単回の葛根湯投与により尿中へ排泄されていた。しかしながら、尿中へ排泄されたエフェドリン類で最も多かったものはエフェドリンであり、そのピーク濃度は4.35+/-1.82 microg/mL(mean+/-SD)であった。この濃度はWADAに規定されている閾値(10 microg/mL)よりも低いものであった。エフェドリン、ノルエフェドリン、プソイドエフェドリン、ノルプソイドエフェドリンの尿排泄半減期は、5.2+/-1.2、4.2+/-1.3、4.2+/-0.9、6.5+/-2.8時間であった。以上より、本研究は、葛根湯の単回投与後の尿ではWADAのドーピング規定に抵触しないだろうと結論づけた。しかし、一日三回三日間の投与での尿中エフェドリンでは陽性であった。葛根湯を単回投与以上に服用する場合にはアスリートは注意をしなければならない。




(感想)

小青竜湯におけるエフェドリンの尿中排泄と同様の結果のようです。ここらへんくらいの服用量ですと単回投与ではWADA規定には反しない可能性が高い。ただ、これも人種差や個人差があるので、どれくらい信用していいのかはわかりませんが。比較的尿中半減期が早いので、そこら辺を考慮にいれながら複数回服用するということでしょう(どうしても服用しなければならない場合、もしくは、服用してしまった場合)。やはり3日間以上の休薬は必要という判断になろうかと思います。

いずれにせよ、ドーピング検査対象選手が葛根湯や小青竜湯を飲まなければならないというケースはほとんどないと思うので(西洋薬で代替薬がたくさんあるので)、うっかりドーピングしそうな緊急事態に直面した時に、このデータを思い出すことができればいいかなぁと思います。

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