2014年1月17日金曜日

最近・・・

本業がバタバタしており、いまいち勉強がすすんでいません。
通勤時間に論文を読んでいるんですが、まだまだ読み終わっていない本などもあり・・・。

もう少ししたらドーピング関係の論文をよみすすめることができそうかな。

自分にプレッシャーをかけていかねば。

2013年12月13日金曜日

非選択的beta受容体遮断薬は筋肉の運動能を低下させる!

スポーツ選手に対して降圧薬としてbeta受容体遮断薬を用いる際、いくつかの要素によってスポーツのパフォーマンスが低下してしまう現象が知られています。病態によってはbeta受容体遮断薬が必須である場合もありますが、そうではなく本態性高血圧のみの場合はbeta受容体遮断薬をスポーツ選手に対しては用いづらい印象があります。古い論文ですが、この現象をヒトに対して筋肉の生検をして検討した報告があります。現在では、倫理面から実行が難しいのではないか?と思いますので、非常に貴重な結果です。


Effect of beta 1-selective and non-selective beta-blockade on work capacity and muscle metabolism.
Clin. Physiol. 1986; 6: 197-207.
P. Kaiser, P.A. Tesch, M. Frisck-Holmberg, A. Juhlin-Dannfelt, L. Kaijser.
PMID: 3006981


以下、抄録の要約。

6人を対象とした、二重盲検クロスオーバー試験。
・プラセボ
 非選択的beta受容体遮断薬であるプロプラノロール 40, 80, 160 mg
 選択的beta1受容体遮断薬であるアテノロール 25, 50, 100 mg
 を投与後に、自転車の最大運動により運動能を計測した。
・プラセボ、80 mgプロプラノロール、50 mgアテノロール投与後の運動後、筋肉の生検を行い、以下の値を測定した。
 ATP, クレアチンリン酸, グルコース-6-リン酸(G6P)、乳酸
・結果として、プロプラノロール投与後が最も運動能が低下し、アテノロールもプラセボ群に比較して低下していた。
・プロプラノロール群とアテノロール群において、プラセボ群よりも低下した数値は以下のもの。
 プロプラ群とアテノロール群で同様に低下した:心拍、Vo2max、ATP、クレアチンリン酸
 プロプラ群のみが顕著に低下した:運動能、G6P


2013年12月3日火曜日

けしの実ケーキでドーピング!?

けしの実ケーキとか、ポピーシードケーキといったものがあります。私も好きなケーキの1つですが、けしの実って・・・!!モルヒネが入っていてドーピング違反になったりしないのでしょうか?それをまじめに検討したのが、本論文です。

Urinary concentrations of morphine and codeine after consumption of poppy seeds.
Thevis M., Opfermann G., Schanzer W.
J. Anal. Toxicol. 2003; 27 (1): 53-56.
PMID: 12587685

以下、抄録と論文内容の要約。

・ポピーシード(けしの実)を使ったケーキが商用で存在する。ドイツでは様々な食べ物に入っていることも。
 グーグルの検索結果
・8つの製造元からポピーシードを購入し、GC-MSにて成分検査を行った。
・7つは、0.6-6.9 micro g/gのモルヒネが検出された。1つは151.6 micro g/gのモルヒネが検出された。コデインの含有量は無視できる量であった。
・一番多かったポピーシードを用いてつくったケーキを9人のボランティアに食してもらい、尿中モルヒネ濃度を検出したところ、以下の結果だった。さらなる詳細は論文に記載あり。
 2 時間後 0.06-2.96 micro g/mL
 4 時間後 0.79-8.36 micro g/mL
  6 時間後 0.93-10.04 micro g/mL
 24時間後 0.40-0.99 micro g/mL
・46時間後または48時間後においても、0.20-0.36 micro g/mLのモルヒネが尿中に検出された。

2013年11月15日金曜日

我が国のアスリートのドーピングへの意識の現状は??

スポーツファーマシストは、日本薬剤師会と日本アンチ・ドーピング機構が認定する、世界で唯一のドーピング薬に関する認定薬剤師資格です。いろいろな方へのアンチ・ドーピングの啓蒙なども期待されています。そのため、我が国においてどのような層がドーピングやアンチ・ドーピングに興味を持っているのかなどの実態調査はほとんどありませんでした。今回の報告は、それに関してで、愛媛県のグループからのものです。

Identification of the role of the sports pharmacist with a model for the prediction of athletes' actions to cope with sickness
T. Yamaguchi, I Horio, R. Aoki, N. Yamashita, M. Tanaka, F. Izushi, Y. Miyauchi, H. Araki
Yakugaku Zasshi 2013; 133: 1249-1259.
PMID: 24189566

以下、論文内容の一部を要約。大変興味深い内容が多くあるので、文献に直接あたるのをおすすめします。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/133/11/133_13-00186/_article

・2011年度国民体育大会出場の愛媛県選手260名、四国インカレ出場予定の大学競技スポーツクラブ所属選手105名の系365名を対象としたドーピングに関するアンケート調査。有効回答数は350件。
・全体として、ドーピング認知度が高く、ドーピングに対しても否定的であった。
男性は女性に比べて、ドーピングに対して関心が高いが、その反面アンチ・ドーピング意識も強い。
 >女性選手は男性選手に比べて闘争心・勝利意欲・自信・判断力が低い反面、自己実現・協調性が高いという報告や、男性のほうが女性よりも冷静な判断・精神的強さが高いなどの報告から説明がつくだろう。
・チーム競技選手よりも個人競技選手の方がアンチ・ドーピングの意識が高い。ただし、今回の調査では個人競技者の方が男性の割合が多いため、性別が交絡因子になっている可能性も。
・ロジスティック回帰分析から、年齢が高いほどドーピングに興味を示すと予測される。
軽症時の対応に関して、おおむね「病院を受診」「常備薬を使用」「何もしない」が多く、「薬局で対応」は、ごく少数。
軽症時の薬剤選択に関して、「広告を参考」が最も多く、ついで「薬剤師に相談」・「低価格」が続く。
・セルフメディケーションを行う理由として、「受診時間がない」が多く、ついで「市販薬で十分」がつづく。
・薬剤選択時の相談サービスについては、過半数以上が利用しない。
アンチ・ドーピングの意識が高いほど、
  「病院を受診」が多い
  「薬剤師に相談」が多い
  「薬の相談サービスを利用する」が多い
 と予測される。


2013年11月7日木曜日

OTC薬に含まれるエフェドリンでもドーピング違反!!

エフェドリンやその代謝物は、その興奮作用のために、ドーピング規定で一定濃度以上の検出が禁止されています。これらの物質は、ドラッグストアなどで気軽に購入できるかぜ薬や漢方などにも含有されているため、それを知らずにドーピング違反になってしまう”うっかりドーピング”が問題になっています。さて、ドラッグストアで気軽に購入できる薬(OTC薬)を飲むとどれくらいエフェドリンが検出されるのでしょうか?

*エフェドリンの類縁体としてcathin、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリンがあります。
それらのWADA2013, WADA2014での尿中での閾値(この値を超えるとドーピングとされる)は以下のとおり。各自ご確認ください。

エフェドリン、メチルエフェドリン:10 microg/mL
cathine:5 microg/mL
プソイドエフェドリン:150 microg/mL

The relevance of the urinary concentration of ephedrines in anti-doping analysis: determination of pseudoephedrine, cathine, and ephedrine after administration of over-the counter medicaments.
S. Strano-Rossi, D. Leone, X. de la Torre, F. Botre
Ther. Drug Monit. 2009; 31: 520-526.
PMID: 19571776

以下、抄録の要約。

・9人の健常者にエフェドリン含有OTC薬を飲んでもらい、尿中のエフェドリンやエフェドリン関連物質の濃度を測定した。
・その結果、プソイドエフェドリンやcathinの尿中濃度は個人差が大きいことがわかった。この個人差は、体重や性別には依らないものであった。

・プソイドエフェドリンのOTC薬での典型的な投与量は60 mg程度である。
・プソイドエフェドリン60 mg投与により、9人中2人で、尿中に5 microg/mL以上のcathinと100 microg/mL以上のプソイドエフェドリンが検出された。
・プソイドエフェドリン120 mg投与により、7人中4人で、尿中に5 microg/mL以上のcathinが検出された。
・薬物動態学的に平衡状態になるまで120 mgのエフェドリンの投与により、尿中のcachin、プソイドエフェドリンは5 microg/mLおよび100 microg/mLを超えた(ピーク値14.8 microg/mL、275 microg/mL)。
・尿中のエフェドリン関連物質の濃度には非常に幅があるが、尿比重やクレアチニン補正後でもやはり個人差が大きかった。